不動産を所有していて相続の予定があり、どうにかして相続税を節税できないかとお悩みの方もいるでしょう。
2016年に相続税の基礎控除額が引き下げられて以降、これまで自分には関係ないと思っていた相続税が、より身近なものとなった方も多いかと思います。
それにより、相続税に対して関心をもつ方が増えた結果「不動産の有効活用が相続税対策に効果的」と注目を浴びるようになりました。
この記事では、なぜ不動産の有効活用が相続税対策になるのか、また不動産活用においての注意点やポイントについて解説します。
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なぜ不動産を活用することで相続税の節税になるのかというと、適用できる特例が多いためです。
たとえば2億円の貯金があったとしましょう。
預貯金を相続するとなると、相続税法上そのまま2億円の財産があるということになります。
しかし仮にこの2億円を使って土地を購入した場合では、そのままでは計算されず「路線価」という計算方法に変わります。
路線価とは、路面に適した宅地1㎡あたりの土地の評価額のことをいい、評価額は地価公示価格の80%相当です。
つまり2億円の土地を購入すると「2億円(土地)×80%(評価額)=1.6億円(評価額)」となり、預貯金として現金で持っている場合と比べ、4,000万円も評価額を下げることができます。
さらに、これが人に貸す用のアパートや土地の場合になると、そこから30%減額ができるのです。
この30%という数値は、一部地域を除いた全国で定められています。
こうした特例の組み合わせが、相続税の節税につながっているのです。
相続税評価額の具体例
仮に土地と建物を購入して収益物件とした場合では、どのくらいの節税効果があるのか見てみましょう。
例として2億円の預貯金があると想定します。
1億円の建物と土地を購入した場合、建物の価値は「固定資産税評価額」で計算します。
固定資産税評価額とは、市町村が算定する固定資産税の基準となる価格のことを指し、その価格は地価公示価格の60%相当です。
つまり1億円の建物は、6,000万円の評価額として計算して良いということになります。
さらにこの建物を賃貸物件とした場合、6,000万円から30%の減額となり「6,000万円(固定資産税評価額)ー1,800万円(30%減額した金額)=4,200万円」で、1億円で買った建物を人に貸し出すことによって、評価額を4,200万円まで下げることができるのです。
続いて土地の場合で計算してみましょう。
1億円の土地を路線価で計算すると80%相当となるため、評価額は8,000万円となります。
さらに賃貸用の土地とした場合では、8,000万円から20%の減額となり「8,000万円(路線価格の金額)ー1,600万円(20%減額した金額)=6,400万円」です。
建物と土地の合計をみると「6,400万円(土地)+4,200万円(建物)=1億600万円」となり、預貯金として持っている場合と比べ、9,400万円も評価額を下げることができるのです。
相続税を節税するための「不動産の有効な活用方法」とは?
不動産を使った相続税の節税方法は、その状況によって異なります。
3つのパターンに分けて見てみましょう。
不動産活用
所有している不動産に収益性がなく相続税の評価額が高い場合には、収益物件として貸し出すなどの不動産活用が節税につながります。
とくに更地や空き家となった家屋は固定資産税が高くなってしまい、相続税が高額になるケースもあります。
さきほど解説したように、人に貸し出す不動産の場合では財産評価額を下げることができるため、アパートを経営するなどして土地活用をすると良いでしょう。
自分の土地に賃貸用の物件を建てることを「貸家建付地」といい、相続税評価額が20%減額されます。
また土地が狭くアパートを建てるのが難しい場合には、戸建ての賃貸経営も選択肢の1つです。
30~40坪といった面積の小さな土地でも始めることができます。
自己資金がある程度必要ですが、十分な貯金がある方は視野に入れてみるのも良いでしょう。
不動産投資
預貯金が多いなど相続財産が主に現金の場合には、不動産投資によって相続税を下げる方法があります。
不動産投資とは、収益物件を購入するという意味です。
前章の具体例で挙げたように、建物は時価60%相当である固定資産税評価額で評価されます。
さらに購入した建物を人へ貸し出すと、そこから30%の減額となり、仮に1億円で購入した建物の場合だと、評価額を4,200万円まで下げることが可能です。
土地の場合は80%が相続税評価額であり、賃貸事業をおこなっている場合はそこからさらに20%の減額が適用されるため、1億円の土地では6,400万円の評価額となります。
このように不動産投資をおこなうことで、預貯金として持っているときと比べて大きな節税効果がうまれます。
二世帯住宅
所有している自宅と敷地が相続財産にあたり、節税ができないかとお考えの方は「二世帯住宅にして親と子が同居する」方法があります。
なぜ二世帯住宅が節税に関係するのかというと、これには小規模住宅地の特例が関わってくるためです。
たとえば、父親名義の土地に二世帯住宅を建て、1階は両親、2階に息子家族が住むとしましょう。
その土地に「小規模宅地等の特例」を利用すると、不動産の評価額を80%も減額できます。
この小規模宅地等の特例にはいくつかの条件がありますが、もっとも重要なのは「誰が土地を相続するか」です。
特例を利用するには、以下3つのうちのいずれか1つに該当しなければなりません。
●亡くなった方の配偶者
●生前に同居していた親族
●持ち家に住んでいない親族
また注意しなければならないのが、それぞれの世帯が区分所有登記をしている場合には同居と判断されず、特例が使えないという点です。
小規模宅地等の特例を利用するかしないかで相続税評価額に雲泥の差が生じるため、同居するご家族が二世帯住宅に前向きであれば検討してみてはいかがでしょうか?
相続税を節税するために「不動産を活用する注意点やポイント」とは?
相続税の節税効果が得られる不動産活用ですが、メリットのみならずリスクもあります。
次世代に優良な財産を残すためにも、ポイントや注意点をよく理解しておきましょう。
ポイント1.利回りに注意する
不動産の利回りとは、投資した建物や土地などの不動産に対してどれだけの家賃収入があるのか計算したものです。
また利回りには2種類あり、家賃と実際の物件価格を割ったものを「表面利回り」、経費や税金などを反映させたものを「実質利回り」と呼びます。
仮に建物が2,000万円・年間家賃が400万円だった場合「400÷2,000=0.2」となり、利回りは20%です。
経費が100万円かかるとなった場合は「(400ー100) ÷ 2,000=0.15」で算出でき、実質利回りは15%ということになります。
上記の例を見ると表面利回りが20%であっても、経費が100万円かかる場合、実質利回りは15%となっています。
ここが重要なポイントで、表面利回りが高くても実質利回りが低ければ利益は低くなります。
そのため維持にどれだけかかるのかなどの経費を含めた正確な試算が必要です。
ポイント2.賃貸経営には費用がかかる
節税目的で不動産を購入して終わりではなく、その後は賃貸経営をしていく必要があります。
不動産賃貸経営においては、固定資産税など税金の支払い義務が発生する他、建物が老朽化した場合には修繕費なども工面しなければなりません。
建物自体の価値は年数とともに下がりますが、一方で修繕費は高くなっていきます。
そのため不動産賃貸経営では、いかに安定して家賃収入を得られるかが重要となってくるのです。
まとめ
なぜ不動産の活用が相続税の節税となるのか、また不動産活用の方法やポイントについて解説しました。
相続税の節税において、不動産活用は大きな効果が得られる方法です。
一方で賃貸経営にはリスクがあることも理解したうえで、相続税対策として自分ができる範囲の不動産活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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