相続など、さまざまな事情から、未成年者が不動産を所有していることは珍しくありません。
では未成年者が所有している不動産を売却することは可能なのでしょうか。
この記事では、未成年者が不動産売却することの可否と、売却する場合の流れと注意点をご説明します。
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結論から言うと、未成年者でも不動産売却することはできます。
しかしそれには法定代理人の合意を得ることが必要となるため、未成年者だけで売却をおこなうことは基本的にはできません。
詳しく説明していきましょう。
未成年者でも不動産売却することはできる
未成年者でも不動産売却することはでき、また、その契約は法的にも有効になります。
ただしそこには法定代理人の同意が必要となります。
法定代理人とは誰か
未成年者の法定代理人は、基本的には両親の2人ともになります。
両親が離婚している場合や、片方が死亡している場合には法定代理人は1人となります。
もし両親が離婚して、親権を持つ法定代理人が1人だけの場合、その法定代理人が死亡したとしても、残された1人に親権が戻ることはありません。
両親がいない場合には、親に近い近親者が法定代理人となることが一般的です。
その場合でも、未成年者や破産者、利害関係にある方は法定代理人となることはできません。
法定代理人なしで売却できるケース
未成年者でも、結婚していれば成人とみなされるため、法定代理人の合意なしに不動産売却をおこなうことができます。
なお、未成年のうちに結婚し、離婚したとしても、婚姻経験があれば成人とみなされます。
また、不動産の営業を許可されていれば、営業に関する法律行為を未成年単独でもおこなうことができます。
ただし住居用の不動産を売却する場合は、通常と同様に法定代理人の同意が必要です。
未成年者が不動産売却できない場合
未成年者が単独で不動産売却することは基本的にはできません。
そのため、未成年者が1人で不動産会社に行ったとしても、法定代理人の同意を求められるでしょう。
また、未成年者が所有する不動産を売却する場合でも、実際の手続きは法定代理人がおこなうことも多いです。
未成年者が不動産売却をおこなう際の流れ
未成年者が不動産を売却する場合、どのような流れと手順で売却を進めていくのでしょうか。
売却の流れは通常の不動産売却と同様ですが、追加で準備する書類もあるため、どうやって売却することになるのかをご説明します。
最初に誰が売主になるかを決める
未成年者が所有する不動産は、法定代理人の一存で売却することもできます。
その場合は、正式な法定代理人であることを示す書類を用意すれば、未成年者の代理として不動産売却をおこなうことができます。
未成年者自身が売主となることもできるため、最初に誰が売主になるかを決めることになります。
一般的には、未成年が売主であるよりも、成年の法定代理人が売主であるほうが買主からの信頼を得やすい傾向にあります。
法定代理人が売主となる場合
法定代理人(親権者)が不動産の売主となる場合は、通常の売却で必要なものにくわえて、戸籍謄本と住民票が最初に必要です。
これにより、不動産の持ち主である未成年者の親権者であることを証明できます。
また、親権者がいない未成年者には成年後見人が法定代理人となります。
未成年後見人も、戸籍謄本に未成年後見人である旨が記載されているため、法定代理人である証明ができます。
ただし、未成年後見人は基本的には未成年者にとって他人であるため、より厳しい目でチェックされることが多いです。
未成年者自身が売主となる場合
未成年者自身が売主として不動産売却をおこなう場合は、法定代理人の戸籍謄本と同意書を準備することになります。
同様の書類は所有権移転手続きの際にも必要となります。
また、通常の売却で必要なものはすべて準備することになるため、たとえ未成年であっても実印と印鑑証明も用意しなければいけません。
印鑑登録は未成年であっても問題なく、市町村役場で登録手続きすることができますので、契約前に手続きを完了させておきましょう。
子どもから親に不動産売却する場合
通常であれば、親権者である親が不動産を売却することができますが、買主が親である場合、別に特別代理人を立てる必要があります。
親の意思で売却できる子どもの不動産は、親の好きなように価格を設定することも可能です。
そうすると不動産の所有者である子どもにとっての不利益になりかねないため、第三者となる特別代理人が間に入ります。
特別代理人は家庭裁判所を通じて弁護士が選任されることが多く、これにより公正な取引がされるようになっています。
未成年者が不動産売却する際の注意点
未成年者が所有する不動産を売却する際、気を付けておくべき注意点がありますのでご説明いたします。
未成年者だけの判断で売却が進むこともある
最初に未成年者単独での不動産契約は基本的にはできない、とお伝えしましたが、未成年者だけの判断で売却が進んでしまうこともあります。
通常は不動産の持ち主の本人確認書類もしっかり確認するため、未成年者が単独で契約を結べることはあり得ません。
しかし、悪質な不動産会社、悪質な買主の場合は、未成年者だからだましやすい、などと考え、そのまま契約を結ばせるケースもあります。
未成年者が売主の場合、法定代理人の同意がなくても契約自体は有効となります。
そのため、場合によっては法定代理人の知らないところで未成年者が不動産を売却することも起こる可能性があります。
未成年者単独での売却は取り消せる
未成年者単独で売却の契約を結んでいたとしても、法定代理人の意思により契約を取り消すことができます。
また、売主が未成年であることを買主が知らなかった場合も、契約を取り消すことができます。
契約が取り消された場合、不動産の所有権は元の持ち主である未成年者に戻り、売却価格は買主に戻されます。
ただし売却から契約取り消しの間に売却したお金を使ってしまって手元にない場合は、残った金額のみ返還すれば良いことになっています。
そのため、法定代理人の同意がない未成年者から不動産を購入するのは、買主にとってリスクの高い行為です。
ただし、未成年者が身分証明書や法定代理人の同意書などを偽造し、嘘をついて契約を結んでいた場合には、契約が取り消せないこともあります。
買主から法定代理人に連絡がきた場合の注意点
未成年者が単独で売買契約を結び、あとから未成年者であることが分かった場合、買主から法定代理人に連絡が来ることがあります。
連絡の内容は、「売主が未成年であることが分かったので契約を取り消したい」ということが多いです。
その際に、法定代理人はしっかりと契約に対する意思を示すのがポイントです。
もしはっきりした返答をしなかった場合、「法定代理人として契約に同意した」とみなされて、そのまま契約が確定してしまうことがあります。
契約が確定されると、後から取り消すことはできなくなります。
まとめ
未成年者が不動産売却することの可否と、売却する際の流れと注意点についてご説明しました。
未成年者が単独で不動産を売却するのは難しいですが、親権者であれば代理で売却することも可能です。
弊社では未成年者の不動産売却に関する豊富な経験を元に、さまざまなご相談を承っております。
ぜひお気軽にお問い合せください。
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