不動産の売却を本格的に考えている方は売出し価格や成約価格、そして乖離率といった言葉をよく耳にすることになるでしょう。
今回は不動産における売出し価格とは何か、成約価格はどのようにとらえればいいのか、それらの言葉の概要や違いを分かりやすく解説しつつ、不動産売出し価格と成約価格にまつわる乖離率についても取り上げていきましょう。
この部分があやふやのままでは損してしまう危険性があるため、しっかりと理解していく必要があります。
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不動産の売出し価格とは何か
売出し価格とは「実際に売りに出されたときの価格」になります。
私たちにとって身近になる例としては、中古不動産の広告などで提示されている価格がこの売出し価格となります。
売出し価格のポイントは査定価格が用意されていたとしても最終的には売主の意向が反映されることで、売主がどれだけ調査していくらで売れるのかを見極める力が求められます。
ただし、できるだけ早く売りたい不動産の場合は売出し価格が同じ条件の競合物件よりも安くなりやすい傾向にあり、売主の個人的な状況にも左右されます。
不動産の成約価格とは何か
不動産売買における成約価格とは「実際に売買が成立したときの価格」になります。
この価格が売出し価格とほとんど変わらないケースもあれば、売主側が設定した売出し価格よりも安い金額になってしまうケースもあるでしょう。
売買契約書に記載される金額もこちらの成約価格となりますが、不動産の相場を知るうえでも重要な数字となっているのでデータ管理して他の物件を売る時の査定に用いられることが多々あります。
売出し価格は売り手側の状況によっても左右されますし少しでも高く売りたいためにも高めに設定されることがありますが、そこに買主側の意向が入ると価格交渉が必ず入りますので金額の乖離が発生してしまいます。
また、成約価格は国土交通省の土地総合情報システムから確認することが可能となっていますが、個人で見られるのは概要だけなので注意しましょう。
あくまでもこれは個人情報保護の観点から詳細情報が隠されているため、不動産会社でしか細かいデータは確認できません。
不動産の売出し価格と成約価格の違いについて
売出し価格と成約価格の違い
売出し価格は「実際に売りに出されたときの価格」で、成約価格は「実際に売買が成立したときの価格」です。
売出し価格はネット上での広告や紙面上での広告で掲載されている金額で、成約価格は買主側との交渉の結果、売買契約書に記載される最終的な価格となります。
この成約価格と売出し価格の差を乖離率として表し、乖離率が大きいほど売主側と買主側の価格に関する考え方が離れているのです。
不動産の売出し価格と成約価格にまつわる乖離率について
乖離率は売出し価格と成約価格の差
乖離率とは売出し価格と成約価格の差額を比率で表したものです。
計算式にすると「(取引価格-売出し価格)÷売出し価格×100%」になります。
基本的に0%に近ければ近いほど売主側と買主側の意識のずれは少なくなり、0%から離れれば離れるほど売主側と買主側の意識のずれが大きいことがわかります。
注意すべきはこの乖離率が大きい物件ほど売ることが困難になってしまうことで、売主側と買主側の意識のずれがひどい物件は売れ残ってしまうことが数字ではっきりと出ていることです。
売却期間が延びるほど乖離率が急上昇する
まず、乖離率が少ない物件は買主側から見ても適正価格と判断することができるため乖離率が高い物件よりも多くの方が購入を検討します。
つまり、乖離率が少ない物件ほど速いスピードで売れていくのです。
このように早い者勝ちで乖離率が少ない不動産が消えていき、最終的には乖離率がひどすぎる物件が残っていきます。
首都圏の中古マンションにおける売却事例のシェアでは約50%が初動の1か月のうちに成約に至っていますが、乖離率の大きい物件ほど長期化する傾向となっており、平均売却期間が3か月を超える要因となっています。
長期化の原因が乖離率の大きい物件なのです。
乖離率が高すぎる不動産は売れ残る
乖離率が高い不動産ほど売れなくなってしまい、乖離率が低めの不動産は早めに売れることはデータからもはっきりしています。
問題は乖離率が高すぎる不動産が売れずにそのまま売り止めてしまうケースが多いことです。
これは実際に不動産が売れたかどうかを示す「成約率」から見ることができるデータになりますが、2019年における首都圏の成約率は非常に低く、半数以下です。
レインズと呼ばれる国土交通省の指定流通機関である、不動産流通機構が運営しているデータベースにおいて、過去の取引事例データから見た概算となります。
実際の成約率はもう少し高めと予想されていますがそれでも十分すぎるほど低い数値であり、売れ残りがどれだけ発生しているのかが間接的に見えてきます。
中古のマンションも中古の戸建ても成約率が半数以下で、さらに築年数が古くなればなるほど成約率も低下している恐ろしいデータですがこれも乖離率と密接にリンクしています。
実は、乖離率も築年数が古くなればなるほど大きくなる傾向にあり、乖離率が高くなりやすい不動産ほど成約率も低くなっていることを示しているのです。
乖離率を下げる方法その1「査定価格を信じる」
乖離率が高すぎる物件は成約率の低下にもつながり、最終的にも売買不成立で売り止めにつながってしまうことがわかりました。
このような状態を回避するためには売主と買主の意識のずれをなくすことが必要です。
そのためにも必要なことを売主側は意識することが重要になります。
始めに覚えるべきことは「査定価格」をできるだけそのまま採用することです。
査定価格とは3か月程度で売却することを目標に仲介する不動産会社が設定する金額であり、過去の類似物件の成約価格や成約率、不動産市場の状況や物件の状態から査定してくれます。
この査定はデータを集めやすいマンションのほうが精度が高く、中古マンションを扱う場合は査定価格にのっとって売りに出すと間違いなく売れるといった声が出るほどです。
ただし、戸建住宅では予想しにくい部分があるため、マンションよりもいくらか精度は落ちますが、それでも失敗確率を避けるためには信用すべきです。
乖離率を下げる方法その2「競合を調べる」
中古不動産を売るためのコツは競合を調べることです。
特に、中古マンションでは物件同士の比較が容易なので、売出し価格がどうなっているのかを簡単に知ることができます。
また、競合がほとんどいない場合は一時的にも独占状態になっているので高値で売却することも可能でしょう。
ただし、競合が多すぎると価格競争になりがちなのである程度安くしないと売れなくなります。
乖離率を下げる方法その3「理由を用意する」
乖離率を下げるには買主も不動産会社も納得できる理由を用意することが大切です。
ただ単に高く売りたいから売出し価格を高く設定するだけでは売れません。
価格を上げたい場合は「耐震診断結果報告書」や「瑕疵担保保険の保険付保証明書」などの検査や診断をおこない信頼できる不動産であることをアピールできるようにしましょう。
まとめ
今回は不動産の売出し価格と成約価格について、簡単な概要と違いを解説して乖離率にも触れてまいりました。
乖離率が高すぎると成約率も低下するのは不動産を扱う上では重要な情報となっていますので、概要をしっかりと理解したらちょっと難しくても乖離率と成約率についても知るべきです。
この2つがわかれば不動産の売却で失敗する確率が下がります。
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