ご自宅の一戸建てに長年住み続けてきた高齢者の方にとって、「家を手放さずに資金を確保できる方法があれば」と考えたことはありませんか。最近注目されているリースバックは、売却後も同じ家に住み続けることができる新しい仕組みです。老後の生活資金の確保や、住み慣れた地域で安心して暮らし続けたい方にとって、リースバックにはどのような特徴や注意点があ
るのでしょうか。本記事では、リースバックの仕組みや高齢者が活用する理由、押さえておきたいポイントまで、分かりやすく解説します。
リースバックとは何か――高齢者が住み慣れた一戸建てを手放さずに住み続ける仕組み
リースバックとは、ご自身が所有・居住している住宅を不動産会社などに売却し、その後そのまま賃貸契約を結ぶことで、売却後も住み慣れた住まいに住み続けられる仕組みです。住宅の所有権は買主に移りますが、売却代金としてまとまった現金を得ながら、引っ越さずに暮らし続けられます。高齢の方が老後資金を確保したい場合や、医療費や施設入居資金を用意する必要がある場合などに適した方法です。
高齢者が一戸建て住宅を売却しつつ住み続けるメリットとして、まずまとまった現金を得られる点があります。リースバックでは、不動産売却によって迅速な資金調達が可能で、売却代金の使途に制限がないため、老後の生活費や介護施設への入居費用など幅広く利用できます。
また、住み慣れた住まい・地域をそのまま継続できることは、心理的な安心にもつながります。転居による環境変化や地域のつながりの喪失を避けることができ、高齢者が安心して生活を続けられる点も大きなメリットです。
リースバックでは、売却後に賃貸借契約を結びますが、契約形態によって住み続けられる期間に違いがあります。普通借家契約であれば、更新が可能で長期的に住み続けられる可能性が高いのに対し、定期借家契約の場合は契約期間終了後に退去が必要になるケースが多くなります。そのため、どちらの契約とするかによって将来的な居住の安定性に差が生じます。
以下に、契約形態による違いを整理した表を示します。
| 契約形態 | 特徴 | 住み続けられる期間 |
|---|---|---|
| 普通借家契約 | 借主に更新の権利があり、貸主都合で退去は難しい | 長期間(更新可能) |
| 定期借家契約 | 契約期間終了後は更新なし、再契約は貸主次第 | 契約期間中(例:2~3年) |
このように、リースバックは広く活用されている仕組みであり、高齢者が住み慣れた家に住み続けながら資金を確保する選択肢として注目されています。一方で契約内容や住み続けられる期間などを慎重に検討することが重要です。
高齢者がリースバックを検討する理由――資金ニーズと安心の両立

リースバックとは、自宅(一戸建て)を売却したうえで賃貸として住み続ける仕組みであり、高齢の方が老後の生活資金を確保しつつ、慣れた住まいで安心して暮らすための有力な選択肢となっています。
まず第一に、年金だけでは不足しがちな老後資金を補う手段としてリースバックが注目されています。自宅を売却することでまとまった現金を得られ、住宅ローン返済や医療費、介護費用などの突発的支出にも対応可能です。また、売却代金には用途制限がなく、比較的自由に使える点が特長です。
次に、得た資金の使い道に制限がないため、医療費や生活費、介護施設入居等、必要に応じて柔軟に利用できます。高齢期における収支の不安定さを補完する、心強い資金手段となり得ます。
さらに、精神的な側面として、住み慣れた家や地域に住み続けたいという強い安心感があります。移住や引越しの負担がなく、地域コミュニティや生活環境を維持できることは、高齢者にとって大きな心理的安定要素です。
以下に、高齢者がリースバックを検討する主な理由を表形式でまとめました。
| 理由 | 具体的内容 |
|---|---|
| 年金不足の補完 | まとまった現金を得て、老後に必要な資金を確保できる |
| 使途の自由 | 医療費や介護費、生活費など、必要に応じて柔軟に活用できる |
| 住環境の継続 | 住み慣れた家や地域で安心して暮らし続けることができる |
知っておきたいデメリットと注意点――高齢者が安心して活用するために

高齢の方がリースバックを活用する際に、安心してご利用いただくためには、いくつか注意すべき点があります。以下に主なデメリットや留意点をまとめました。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 家賃負担と所有権喪失 | 売却後は家賃を支払う必要があり、長く住むほど総負担が大きくなる可能性があります。また、所有権は売却先へ移ります。 | 長期的な支払計画と所有権の帰属先を明確にする |
| 契約形態の違い | 普通賃貸借契約なら借主側の更新請求権がありますが、定期賃貸借契約では契約期間終了後に退去を求められることがあります。 | 契約時に契約種類・期間・更新条件をしっかり確認する |
| トラブル件数の増加 | 消費生活センターへのリースバックに関する相談件数は、年々増加しています。悪質な勧誘や理解不足による契約トラブルの報告もあります。 | 契約前に仕組みを十分理解し、家族や第三者とも相談して進める |
まず、リースバックでは売却後も住み続けられますが、家賃負担が将来的に売却で得た金額を上回るリスクがあります。また、自宅の所有権がなくなるため、家を遺すことが難しくなります。これは長期的な生活設計と比較しながら判断が必要です。
賃貸借契約には「普通賃貸借契約」と「定期賃貸借契約」があり、前者は借主側からの更新請求が可能ですが、後者は期間終了とともに退去が生じることがあります。どちらの契約になるかは生活の安定に大きく関わるため、契約時に必ず確認しましょう。
さらに近年では、リースバックに関するトラブルが増加しており、国民生活センターへの相談件数も顕著に増えています。強引な訪問営業や不利益な契約を結ばされる事例も報告されているため、一般的な仕組みを理解し、不安な点は家族や専門家に相談することが重要です。
これらのデメリットを踏まえ、契約前には慎重な検討と複数業者への比較、家族との話し合いを行い、ご納得の上でご利用されることをおすすめします。
リースバック利用前に確認すべきポイント――一戸建てを所有する高齢者向けのチェックリスト

リースバックを安心して活用していただくために、以下の点を必ず確認してください。高齢者の方が住み慣れた一戸建てを守りながら利用するために、冷静で納得できる判断をサポートします。
| 確認項目 | 理由 | チェック内容 |
|---|---|---|
| 付帯支援や高齢者向けサービスの有無 | 安心して住み続けられる支援体制があるかを確認するため | 家賃支援、緊急時対応、家族同席説明などがあるか |
| 契約内容の透明性 | 解約や更新、家賃設定方法など将来の負担を理解するため | 契約期間、解約条件、家賃変動ルールを明確に説明しているか |
| 家族への説明や将来設計との整合 | 相続や将来のトラブル回避のため全員が理解していることが重要 | 家族で事前に話し合い、納得のうえで進めているか |
まず、ご自身やご家族が安心して利用できるよう、リースバックを提供する業者に高齢者向けの付帯支援があるかを確認してください。例えば、緊急時の対応や定期的な面談、住み続けるためのサポートなどがあると安心です。こうした体制がない場合、不安が残る契約になりかねません。
次に、契約内容の透明性が非常に重要です。具体的には、契約期間、途中解約の条件、家賃の見直しルールなどを、書面で明確に提示してもらいましょう。特に、契約を更新できない「定期借家契約」や、更新時に家賃が大幅に上がる可能性などは重大なリスクとなります 。さらに、修繕費の負担やクーリング・オフが認められない可能性についても事前に確認が必要です 。
最後に、ご家族を交えた将来設計との整合性を必ず確認してください。リースバック契約後は所有権が移転するため、相続や家族間でのトラブルの火種になりかねません 。高齢者ご本人が十分に判断できる状態でも、家族と相談し、納得した上で進めることがトラブル回避につながります。また、必要に応じて不動産や法律の専門家に相談することもおすすめします 。
まとめ
一戸建て住宅を所有する高齢者の方が、住み慣れた環境を維持しながら資金を確保できる方法として、リースバックは非常に有効です。老後の安心と柔軟なお金の使い道を両立できる一方、所有権の移転や家賃、契約期間など注意すべき点も多く存在します。契約内容や将来の生活設計をしっかり確認し、ご家族とも相談を重ねることで、納得のいく選択が可能です。適切な情報収集と慎重な判断が、これからの安心した暮らしに繋がります。
