土地などの不動産を相続するためには、相続登記が必要になります。
ところが、現実は手続きが面倒だったり、そもそも所有者の情報が分からなくて手続きが進められないなど、相続登記が放置されているケースが増えています。
そこで今回は、不動産の相続登記において期限はあるのか?また放置した場合のデメリットや新たに閣議決定された法案についてご紹介します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産の相続登記は放置していいの?期限はいつまで?
ある日突然身内に不幸があったら…その方の所有する土地などの相続登記が必要になります。
この場合、相続登記はいつまでにしなければならないのでしょうか?
答えは、「相続登記に期限はありません」となります。
いつ変更してもいいですし、お仕事で忙しくて相続登記し忘れた!となってしまっても、特に罰則はありません。
場合によっては、昔から受け継がれてきた土地が実は相続登記し忘れて祖先のものだったということも。
じゃあそのまま放置していても大丈夫なのでしょうか?
実は取得した不動産を放置したままにしておくと、のちのち厄介なことに。
後で困ったことにならないよう、早めの対策が必要です。
実際どのようなデメリットがあるのか、1つずつみていきましょう。
不動産の相続登記を放置した場合のデメリットは?
不動産の相続登記は期限がないからと放置した場合のデメリットとはどのようなケースでしょうか?
デメリット①売却できないし、担保設定もできない
まずあげられるデメリットとして、相続登記していない放置したままの不動産は、売ったり、担保としてお金を借りたりできません。
「地方に転勤になったから土地を売却したい!」
「事業拡大のため、土地を担保にお金を借りたい!」
と思っても、相続登記していない不動産の名義は、亡くなった被相続人のものです。
放置したままの土地などに対して、第三者に権利を主張するためには、相続登記し、所有権をもっていることが必要になります。
長年放置された不動産を相続登記するには、現状の権利関係を把握し、書類を揃えなくてはなりません。
以下もチェックしてみてください。
デメリット②権利関係が複雑になる
次に相続登記しないまま放置した土地がある場合、その土地の名義人が亡くなるとどうなるのでしょうか?
実は自動的に親から子へ引き継がれます。
法定どおりならば、子どもが5人いればその兄弟5人全員が相続人です。
さらにその兄弟が亡くなるとその子どもが相続人になることも。
もし何世代もの間相続登記されていない土地の場合、世代ごとに縦にも横にも雪だるま式に広がり、結果連絡のつかない人がでてきたりと話し合いが困難になりがちです。
そして気が付いた時には、相続人が十数人にふくれあがり、面識のない親族と遺産相続や相続登記について話し合わなければならなくなる場合も。
さらに住所が分からなかったり、病気などで意思疎通が図れなかったり、未成年だったりと、より複雑化してしまうのがネックです。
デメリット③正しい相続ができない
そもそも何世代にも渡り放置されてきた土地に対して、誰が相続権を持っているのか、追うことはかなり困難です。
さらに兄弟などで共有持ち分にしている場合、どの割合で共有しているのかは、相続登記されていない不動産登記簿からでは確認することもできません。
兄弟間で話し合われていたとしても、所有者が正しく設定されていない限り、遺言書の内容が一部無効になる可能性もあります。
こういった場合、正しい相続をすることは難しいでしょう。
デメリット④必用な書類が手に入らなくなる
相続登記には、所有者(亡くなった方)の戸籍謄本や除籍謄本、住民票の附票などが必要になります。
現在の除籍謄本の保存期間は150年ですが、平成22年6月1日以前は戸籍様式の年代により50年~80年と保存期間が異なります。
また平成22年度の改正前に古い戸籍は各自治体により処分され、すでに取得できない可能性も。
さらに住民票の除票や戸籍の附票の保存期間は5年に定められています。
もし所有者が亡くなって5年を経過してしまうと、住民票や戸籍は入手できなくなるかもしれません。
戸籍を処分されてしまうと、一般の方が書類を入手するのは大変困難なため、司法書士の先生などに依頼する必要があります。
不動産の相続が発生したら、手遅れになる前に早めに相続登記手続きを進めましょう。
不動産の相続登記を放置するのは危険!義務化決定の内容とは?
さて、これまで法的義務は課せられなかった相続登記ですが、ついに義務化され、期限についても設定されました。
この背景には、法務省がおこなった地籍調査において、所有者がわからない土地が全国に2割超もあったこと。
その中で相続されていない土地が約66%、さらに34%で住所変更がされていないという衝撃の事実があったから。
このままでは、放置された土地が増え、公共事業や復興事業が円滑に進まないうえ、高齢化によりさらに深刻化することから、今回の法案にふみきったようです。
では具体的にどのような内容なのか、4つのポイントをみてみましょう。
ポイント①相続登記の申請の義務化
土地を相続等により取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記の申請しなければなりません。
もし正当な理由なく登記申請を怠ると、違反への罰則として10万円以下の過料が課せられます。
これは遺言などで相続人に対する遺贈による所有権取得の際も同様で、義務化の対象になります。
ポイント②住所変更登記の義務化
登記簿上の所有者の氏名や住所の変更がされていないため、所有者不明土地が増えていることから、住所変更登記についても義務化。
所有者の住所や氏名が変更となった場合は、その変更があった日から2年以内に変更登記の申請をおこなわなければなりません。
これも正当な理由なく登記申請を怠ると、違反への罰則として5万円以下の過料が課せられます。
これは、法改正前の住所等変更による登記をしていない場合も対象。
万が一、法改正以前から住所等の変更していない場合は、施工日から2年以内に住所等の変更登記をする必要があります。
ポイント③所有者情報など連絡先の把握
個人で新たに土地などの不動産の所有権を取得する場合、名義変更登記の際に、生年月日等の情報提供が必要です。
住民基本台帳ネットワークシステムの検索キーワード等で利用される予定で、登記簿に個人の生年月日が記録されるわけではありません。
ポイント④放置を防ぐ「相続土地国庫帰属法」の創設
望まない相続による不動産の放置問題を防ぐための新法「相続土地国庫帰属法」を創設。
ただし不動産に担保が設定されておらず、建物や土壌の汚染がないなど、一定の要件を満たしたうえで、10年分の管理費相当額を納付する必要があります。
管理費は周辺環境なども考慮し、今後政令で定める予定。
参考として国有地管理費の10年分の相場は、原野で約20万円、宅地(200㎡)で約80万円だそう。
10年分でこのお値段であれば、面倒から開放されるため、放置問題の抑制になるでしょう。
まとめ
不動産を相続した際に放置したままにしていると、お子さまやさらにお孫さんの代で困ったことになってしまいます。
今回の法案が整備され施行されることで、これまで曖昧だった情報が整備され、危険な所有者不明の不動産は減少していくことが予想されます。
気が付いた時には手遅れだったとならないよう、不動産の相続が発生した際には早めに手続きを進めることが大切です。
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